ある画家のお話 - 張宗眉

今年から上海で働いている友人のモッチが、ギャラリーに遊びに来てくれた。
ウチのギャラリーと、莫干山路50号のいくつかのギャラリーを案内。時間があまり無くてちゃんと紹介できなかったけど、莫干山路の雰囲気は感じてもらえたんじゃないかと思う。


莫干山路で働き始めてから、たくさんの人にM50を案内してきた。そのたびに私自身新しい発見があって面白い。今日も2つほど新しいギャラリーを見つけた。ラッキー♪


莫干山路に来られる方、よければ案内しますのでご連絡くださいまし。
つたない中国語ですが通訳・交渉なんでもござれ、好みに応じてギャラリー、画家、展示スペースを紹介しまっせ。(そのうち、仲介ビジネスできるかもね・・)

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勤務中、以前ヌードの絵を書いてくれた張宗眉がやってきた。


「通訳をたのむ!」
「いいけど、日本人?」
「いや、イギリス人」
「オイ!」


東華大学のイギリス人教授が、張宗眉にインタビューをしたいらしく、私に中→英の通訳をしろとのこと。
なぜ私が・・


教授はヨークシャー出身で渋めのBritish
質問内容は、張宗眉がどのような活動をしているのか、いつから芸術活動をしているのか、何が彼をインスパイアするか、等等。
ビデオに撮って、授業の教材に使うようだ。


これまで彼の生い立ちとか、アートに対する考え方をまともに聞いたことが無かったけど、聞いているとこれが面白い。
途中から通訳そっちのけで、私の方からいろいろと質問をしてしまった。すまん教授!


彼は父親に連れられて、幼い頃から四川省雲南省などを転々とし、そこで見た景色や少数民族の人たちに心動かされて、絵を始めた。
中越(中国対ベトナム)戦争では、出兵しつつも絵を描きつづけ、評価を高めていったという。最近ではロシアで活動していたこともある。


でも彼は、ここ数年で絵を描くのをパタリと辞めている。今は写真しか撮っていない。
なぜ?

もう沢山の絵を描いてきた。
今はあまりに多くの人が絵を描いてるし、絵画は表現したいことを形にするのに時間がかかる。
でも写真なら一瞬だ。


中国の現代アートについて。

最近の中国人アーティストはスキルは高いが、思想・哲学が欠けている。そして中国の伝統をないがしろにしている。
彼らは伝統を壊そう壊そうとしているが、彼ら自身その伝統がなにかわかっちゃいない。それじゃ伝統を超えた新しい作品なんて出来ないよ。


なぜ上海に?

上海はひどい。
上海に住んでいるほとんどの人は貧しい暮らしをしてる。金を持っていていい暮らしをしてるのはごく一部の人間だけだ。
だから、貧しい人たちの代わりに表現していこうと思う。

へ〜。


私のような素人でも、ちょっとしたキッカケで、いろいろなアーティストに関わることが出来る。それが莫干山路の面白いところだ。


話の流れで、彼のWebサイトを作ってあげる事になった。
私は彼の作品も、人間性も結構気に入っている。長く付き合っていアーティストの一人だ。