上海ベイビー

久しぶりに海外の小説を読んだ。
上海を舞台に、中国で「新人類」とよばれる若者たちの日常を描いたこの小説。ベストセラーになったにも関わらず、過激な性描写やドラックを服用しているということで、中国では発禁処分になっているらしい。

上海ベイビー
衛 慧 桑島 道夫
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自分の生き方に疑問を持ちながらも、上海という街と、その退廃的な生活に酔っている一人の女性の話。そんな感じ。

多くの人にとって、情欲と愛情は同列に論じることはできない。が、思想的に解放された女性たちにとって、心からの相思相愛の男性、自分に性的オルガズムを与えてくれる男性をみつけだすことは、プライベートな生活のなかで最も理想的な状況である。彼女たちは言う、愛情と情欲を別々に求めることは、決して純潔な人生を追求することと抵触しない、と。

一日一日己の生命を消耗して行く日々の生活の中で、彼女たちは女の直感と願望によって、満足感が得られる生活スタイルを探し当てるのである。生活の秘密の扉を開ける鍵を手に入れることができたのだ。彼女たちは50年前の女性たちより自由で、美しい。10年前の女性たちとは違った種類の性的オルガズムを得られるようにもなった。

主人公のココの生活は、著者の生活と重なる部分が多いのだろう。


大連で中国人と異性についての話しているとき、
「中国人の90%以上の女性は純潔で、プレイガール(?)なんてほとんどいないよ」
と中国人女性の同僚が言っていたのを思い出した。


大連と上海では傾向がかなり違うが、それでもこの小説にあるような女性はかなり少数だろう。
でも間違いなく、上海に生息する「新人類」の一面なのだろう。


もしこれが日本の小説であれば、それほど話題にもならなかっただろうが、中国ではこれが「新しい」というところが面白い。
そして上にあるように、「新人類」たちが時代の変化を、自分たちではっきりと意識している。


怒涛のように押し寄せる変化の波に飲まれて、上海の「新人類」たちは今後どのように変化していくのだろうか。