国家の自縛

今日の午後は、雑誌で見つけたカフェで優雅に読書。
昼下がりのカフェで、時間を気にせず本を読むのって、私の中で一番の贅沢な時間の使い方かも。シアワセー。


今日の一冊は「国家の自縛」。前作「国家の罠」の第二弾。
鈴木宗男事件の暴露本として発刊された佐藤優氏の「国家の罠」は、2005年に私が読んだ本でダントツNo.1の一冊だ。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
佐藤 優

新潮社 2005-03-26
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著者の佐藤優氏は鈴木宗男事件で逮捕された外交官。
ちょうどその頃イギリスにいたこともあって、よくある政治家の不祥事か〜くらいに遠くからみていたけど、内情は外務省のかなり根の深い政治事件だった。
ミステリー小説顔負けの展開と、知的好奇心をバリバリ刺激する検察とのやり取り。
著者が宗男事件を「時代のけじめ」という含蓄のある言葉で表現しているけど、そういった政治・外交の奥深さを知ることができただけでも読んだ価値があった。


国家の罠」で、有罪判決にもかかわらずマスコミ・世論を味方につけた著者の続編が、この「国家の自縛」。


国家の自縛国家の自縛
佐藤 優

産経新聞出版 2005-09
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正直、「国家の罠」が衝撃的過ぎただけに、前作ほどのインパクトはないが、外務省の内情を知る彼の眼から見た外交・国家戦略が語られていて、相変わらず読者の見識を広げてくれる。


私のハイライトは

神とか愛とかいう「究極的な価値」は国家や経済という「究極以前の価値」を通じてしか実現できないと私は考えているんです。

結論から言うと、私は、「究極的な価値」は「究極以前の価値」という媒介項を通してのみ実現できると確信している。この媒介項はいろいろあるし、時代とともに変遷する。

産業社会が成立した後、ネーション(民族/国家)は、もっとも有力な媒介項であり、その状況は予見される未来、つまり、今日この部屋に集まっている人々が生きている時代においては変化しないであろう。

従って、人類、平和、愛といった「究極的な価値」に至るためには、民族/国家という「究極以前の価値」に真摯に取り組むことが不可欠なのだと思う。


この「究極的な価値」と「究極以前の価値」。
どう言い替えるかは人それぞれだと思うけど、人の理想や夢は、最終的に彼の言う「究極的な価値」になることがほとんどだと思う。

その実現に向けて「究極以前の価値」にどう関わっていくか。
きちんとお互いの関係を意識して、日々の生活を営んでいけるか。もしくは、「究極以前の価値」だけにとらわれて生きていくか。


「シンク・グローバル、アクト・ローカル」ってよく言われるけど、私もこの二つの価値を連続したものとして捉えていけるかで、最終的に社会のあり方が変わっていくと思うので、彼の考えにとても共感できた。
まずは自分の夢や目標設定をすることが大事。でもその大きな夢を語ってばっかいるんじゃなくて、きちんと目の前の生活や仕事を地道にこなして行きなさいってことで。

本を読む醍醐味のひとつは、自分が漠然と考えていたことを、言葉によって具体化してくれることだよね。


佐藤優氏の活躍、今後も要注意っす。