ミュージアムが都市を再生する

文化政策学を専攻する院生の方に勧めてもらった本。コレは面白い!

ミュージアムが都市を再生する
上山 信一 稲葉 郁子
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日本では、バブル期にボコボコ立てられたミュージアムが経営難に陥っていて、その運営方法や存在意義事態を問われてきている。この本では、それらのミュージアムを有効利用することで、「地方都市や人材を活性化させていこうじゃないの!」と主張している。


二十一世紀には「インターネット」と「ミュージアム」が時代を切り拓くのではないか。なぜなら前者は"バーチャル"だが圧倒的な情報量を提供する。後者は逆に"リアル"に徹し、我々のインスピレーションを刺激する。

最終的に私たちは「ミュージアムを見直すことは都市のあり方と私たちのライフスタイルを見直す絶好のチャンスだ」という確信を持つまでにいたった。


たまに実家に帰ると、地元の仲間と町のこれからについての話になる。このまえ帰った時は、「町全体をミュージアムにしちゃおう」といった話が出ていた。
感覚として、故郷の田舎町は、10年後にはかなり衰退して、30年後くらいには無くなるんじゃないかと思っている。

損保ジャパンが1988年にゴッホのひまわりを数十億円で購入し、知名度を世界的に上昇させたらしいが、仮に私がゲルニカモナ・リザを買ってうちの田舎に持って帰ったら、それだけで世界中から人が集まり、町は息を吹き返すかもしれない。

それはちょっと大げさだけど、必ずどの地域にもなにかしら特色があるものだから、それらとアートを組み合わせて、地元の人間と外部の人間をうまく使っていけば、元気の無い田舎町も活性化する可能性はあるかも、と感じた。


今私が仕事で関わっているアートはもろビジネスなので、公共性という面では当てはまらない面もあるが、会社のあるアートゾーンM50自体は、アート関連業者、アーティスト、作品の集積体としてミュージアムといえなくは無い。

M50自体は、中国のアートシーンの盛り上がりもあって、いまのところ地域への貢献度は高い。かなりの雇用も生んでいる。これが10年後、20年後にどのようになっているかが問題。

中国ではミュージアム自体が少ないので、この本にあるような問題にはまだ直面していないだろうが、日本や海外の状況をケーススタディとして、今からどのようにミュージアムを育てていくかを考えていく必要があるだろう。


この本を読んで、ビジネスとしても、ミュージアムや地域との関わり方でどのようなチャンスがあるのか、いろいろとアイデアが浮かんだので、もっとアイデアを詰めて形にできればと思う。