ワスレナグサと星野道夫

友人とたまたま勿忘草の話になって、星野道夫の「旅のする木」を読み返した。

旅をする木
星野 道夫
4167515024

4年位前にイギリスにいた頃、友人がわざわざ日本から贈ってくれた私の座右の書。それ以来東京、大連、上海と何度も引越しをしたけど、この本だけは必ずそばに置いてたまに読み返している。

とくに気に入ってるのは、「ワスレナグサ」というエッセイ。

一日のうち15分でも30分でもいいから、仕事のことをすべて忘れて、今ここに自分がいて、花が咲いていたり、風が吹いていたり、遥かな北極海のほとりでキャンプしていることをしっかり見ておかないと、こんな場所にはなかなか来れないんだし、すごくもったいない気がすると・・・・


風に揺れるワスレナグサもそんなことを語りかけているような気がした。私たちが生きることができるのは、過去でも未来でもなく、ただ今しかないのだと。

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味を持つのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。

頬を撫でる極北の風邪の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい・・・・


ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことの無い、ただ流れてゆく時を大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もう一つの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。


今は外に出ることが多いので、外の空気や、季節の移り変わりを頻繁に感じることができるけど、ITの仕事をしていたときは、一日オフィスに閉じこもって、数字やディスプレイと睨めっこしてた。太陽が昇る前に会社に行って深夜に帰宅、外の景色をほとんど見ない日も。なにかすごくもったいない時間を過ごしてた気がします。

最近は特にプラタナスの木が葉をつけて、並木道を散歩やサイクリングするのが楽しい。


DSC07450


5年後とか10年後とかに、この上海での生活を振り返ってみて思い出すのは、ビジネスとかの細かい出来事じゃなくて、たぶん莫干山路のゆったりとした雰囲気とか、青く茂ったプラタナスの並木道なんだろうなと思う。


まーちに埋もーれそーな、ちーさな わす〜れなーぐさ〜♪ (尾崎)
あー、カラオケ行きて


YouTubeにあった!すごい。。http://www.youtube.com/watch?v=3wsdLNGH0m0